作業環境測定の目的
労働安全衛生法では、粉じんを発散する作業場等一定の有害な業務を行う作業場については、定期的に作業環境測定を行い、その結果の評価に基づいて適切な改善措置を講じなければならないこととされています。
快適な職場環境を整えることにより、労働者が健康的に仕事ができ生産性の向上につながります。
事業者は、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を求められています。労働衛生対策を進めるに当たっては、まずは現状の把握が重要となります。
当連合会では長野県下4測定所に約40名の作業環境測定士を配置し、適正な測定はもちろんのこと、豊富な測定実績から環境改善に役立つ的確なアドバイスを行なえる体制を整えています。
労働安全衛生法では、粉じんを発散する作業場等一定の有害な業務を行う作業場については、定期的に作業環境測定を行い、その結果の評価に基づいて適切な改善措置を講じなければならないこととされています。
快適な職場環境を整えることにより、労働者が健康的に仕事ができ生産性の向上につながります。
作業環境測定を行うべき作業場 | 測 定 | ||||||
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作業場の種類 (労働安全衛生法施行令第21条) |
関係 規則 |
測定の種類 | 測定回数 |
記録の 保存年数 |
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① | 土石、岩石、鉱物、金属または炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場 |
粉じん則 26条 |
空気中の濃度および粉じん中の遊離けい酸含有率 |
6月以内ごとに 1回 |
7 | ||
② | 暑熱、寒冷または多湿屋内作業場 |
安衛則 607条 |
気温、湿度、ふく射熱 |
半月以内ごとに 1回 |
3 | ||
③ | 著しい騒音を発する屋内作業場 |
安衛則 590、591条 |
等価騒音レベル |
6月以内ごとに 1回 |
3 | ||
④ | 坑内の作業場 | イ | 炭酸ガスが停滞し、または停滞するおそれのある作業場 |
安衛則 592条 |
炭酸ガスの濃度 |
1月以内ごとに 1回 |
3 |
ロ | 28℃を超え、または超えるおそれのある作業場 |
安衛則 612条 |
気温 |
半月以内ごとに 1回 |
3 | ||
ハ | 通気設備のある作業場 |
安衛則 603条 |
通気量 |
半月以内ごとに 1回 |
3 | ||
⑤ | 中央管理方式の空気調和設備を設けている建築物の室で、事務所の用に供されるもの |
事務所則 7条 |
一酸化炭素および二酸化炭素の含有率、室温および外気温、相対湿度 |
2月以内ごとに 1回 |
3 | ||
⑥ | 放射線業務を行う作業場 | イ | 放射線業務を行う管理区域 |
電離則 54条 |
外部放射線による線量当量率 |
1月以内ごとに 1回 |
5 |
ロ | 放射性物質取扱作業室 |
電離則 55条 |
空気中の放射性物質の濃度 |
1月以内ごとに 1回 |
5 | ||
ハ | 事故由来廃棄物等取扱施設 | ||||||
ニ | 坑内における核原料物質の掘採の業務を行う作業場 | ||||||
⑦ | 特定化学物質(第1類物質または第2類物質)を製造し、または取り扱う屋内作業場等 |
特化則 36条 |
第1類物質または第2類物質の空気中の濃度 |
6月以内ごとに 1回 |
3 (特別管理物質については30年間) | ||
特定有機溶剤混合物を製造し、または取り扱う屋内作業場 |
特化則 36条の5 |
空気中の特別有機溶剤および有機溶剤の濃度 |
6月以内ごとに 1回 |
3 | |||
石綿等を取り扱い、もしくは試験研究のため、または石綿分析用試料等を製造する屋内作業場 |
石綿則 36条 |
石綿の空気中における濃度 |
6月以内ごとに 1回 |
40 | |||
⑧ | 一定の鉛業務を行う屋内作業場 |
鉛則 52条 |
空気中の鉛の濃度 |
1年以内ごとに 1回 |
3 | ||
⑨ | 酸素欠乏危険場所において作業を行う場合の当該作業場 |
酸欠則 3条 |
第1種酸素欠乏危険作業に係る作業場にあっては、空気中の酸素の濃度 | 作業開始前等ごと | 3 | ||
第2種酸素欠乏危険作業に係る作業場にあっては、空気中の酸素および硫化水素の濃度 | |||||||
⑩ | 有機溶剤(第1種有機溶剤または第2種有機溶剤)を製造し、または取り扱う一定の業務を行う屋内作業場 |
有機則 28条 |
当該有機溶剤の濃度 |
6月以内ごとに 1回 |
3 |
作業環境測定士による測定が義務付けられている指定作業場
作業環境測定を行うべきかわからない場合は、こちらで作業状況等を確認し規制と照らし合わせて判断いたしますのでご相談ください。
従来から実施している作業環境測定のほか、個人サンプリング法での測定も実施しています。
従来法 (A測定、B測定) |
無作為に選定した定点で試料採取を行い、測定値を統計処理して作業環境を評価する方法 |
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個人サンプリング法 (C測定、D測定) |
作業者に試料採取機器を装着して試料採取を行い、測定値を統計処理して作業環境を評価する方法 |
個人ばく露測定とは、有害物質を取り扱う作業者に試料採取機器を装着して、呼吸域での有害物質濃度を知るための測定です。作業者の有害物からのばく露の程度を測定することを目的に行います。
化学物質のリスクアセスメントを行う際、リスクアセスメント対象物のうち濃度基準値が定められた物質は、労働者のばく露の程度が濃度基準値を上回らないことが義務付けられます。その際の確認測定は個人ばく露測定により実施します。(R6.4.1施行) また、作業環境測定の評価結果が第三管理区分の作業場においては、個人ばく露測定もしくは個人サンプリング法等による測定を行い、その結果に応じて労働者に有効な呼吸用保護具を使用させることが義務付けられます。(R6.4.1施行)
金属アーク溶接等作業で発生する溶接ヒュームは、労働者に神経障害等の健康障害を及ぼすおそれがあることが明らかになり、特定化学物質障害予防規則等が改正されました。
溶接ヒュームの測定及びその結果に基づく呼吸用保護具の使用が義務付けられています。
対象 | 金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場 |
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測定方法 | 個人ばく露測定 |
必要な処置 | 換気の実施(全体換気装置、局所排気装置、プッシュプル型換気装置、ヒュームコレクターなど) |
溶接ヒューム濃度から選択した呼吸用保護具の着用 | |
マスクフィットテスト | |
施行日 | 令和3年4月1日 |
多数の人が利用する建物は、利用者の衛生環境を確保するため定期的な検査を実施することが義務付けられています。
対象 (特定建築物) |
延べ床面積3,000㎡以上の建築物(興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館、遊技場、店舗、事務所、学校(8000 ㎡以上に限る)、旅館など) |
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測定項目 | 浮遊粉じんの量、一酸化炭素の含有量、炭酸ガスの含有量、温度、相対湿度、気流、ホルムアルデヒド |
測定項目 | 2月以内ごとに1回 |